勇次郎「刃牙･･････リッツパーティーするぞッッッ！」刃牙「～～～～～～ッッッ！」

 

 

 

 

 

 

刃牙「リッツって、ただのクラッカーでしょ？　あれでどうやってパーティーするのさ」

勇次郎「リッツを嘗めるんじゃねェ」

刃牙「！」

勇次郎「1934年、米国のナビスコで誕生して以来――」

勇次郎「競争の激しい製菓業界を生き抜いてきたブランド力は伊達じゃねェ」

勇次郎「あのシンプルさにこそ、ナビスコ社員の叡智が込められているのだ」

刃牙「ゴメン……」

 

勇次郎「試しにここにあるメカブ……リッツに搭載（のせ）て食ってみろ」

刃牙「いただきます……」ｻｸ…

刃牙「…………ッッ」

刃牙「オイシイ……（予想以上ッ！）」

勇次郎「理解（わか）ったようだな」ﾆｨ～

勇次郎「だが、リッツの奥深さはまだまだこんなもんじゃねェ」

刃牙「やろう、オヤジ！　リッツパーティーッッッ！」

勇次郎「そうと決まれば……光成に連絡するか」

 

 

 

 

地下闘技場――

光成『地上最強のリッツを見たいかァッ！！！』

ウオオオオオオオオオッ！！！

光成『ワシもじゃ、ワシもじゃみんな！』

光成『今宵、ワシの財力で10トンのリッツを用意したッ！』

オオッ……

光成『各々思う存分リッツの魅力を引き出し、堪能するがよいッ！』

 

 

 

光成『リッツパーティー……開幕ッッッ！！！』

ワァッ！！！

 

 

刃牙「まずは俺からいかせてもらうよ」

独歩「いきなりオメェさんかい」

克巳「地下闘技場王者のリッツ……堪能させてもらうよ」

刃牙「一枚のリッツにキャベツ、さんまの身、ベーコンエッグを少しずつ搭載（のせ）た……」

刃牙「名づけて――“ごきげんなリッツ”！」

オオッ……

 

 

独歩「こりゃうめェ……」ｻｸｯ

克巳「ッヘェ～……」ｻｸｻｸｯ

加藤「何枚でもイケちまうぜ！」ﾎﾞﾘ…

末堂「食べるのが止まらねェ……」ｻｸｻｸ…

本部「キャベツがリッツ独特の甘さと塩辛さを引き立て、さんまとベーコンエッグの味を極限まで高めておる」

勇次郎（刃牙め……パーティーまでの短期間にこうもリッツを理解するとはッ！）

勇次郎「さすが俺のガキだ……」ｻｸｩｯ

 

 

刃牙「さらにデザートとして、炭酸を抜いたコーラを用意したよ」

刃牙「これにリッツをつけて食べると……」ｻｸｯ

昂昇「適度にふやけてウマい……ッ！」ｻｸｯ

紅葉「リッツの甘さとコーラの甘さが相乗効果を生み出している！」ｻｸｯ

ジャック「究極のデザートといって差し支えない」ｻｸｻｸ

神心会門下生「ほう、炭酸抜きコーラをつけたリッツですか……たいしたものですね」

神心会門下生「まさかこのような組み合わせを考えるとは、超人的な発想力というほかはない」

 

 

 

 

独歩「次はオイラだ」

独歩「どれ、食ってくんな」

克巳「く、黒い……ッ！」

独歩「オウよ。イカスミとリッツを組み合わせたのよ」

光成「こりゃなかなかイケるのう」ｻｸｻｸ

加藤「へへ……刃牙に敗けてないぜ！」ﾎﾞﾘﾎﾞﾘｯ

独歩「これが勝ってナンボの愚地流だぜェ」

 

 

 

 

 

克巳「ンじゃ、俺もいかせてもらおうかな」

刃牙「これは……ッ」

克巳「コンビニで買える惣菜を、リッツに搭載（のせ）たンだ」

克巳「これぞコンビニリッツ！」

ｻｸ…　ﾓﾆｭ…

刃牙「ウ、ウマい……ッ！」

末堂「新時代のリッツって感じだ……！」

渋川（これは神心会も安泰じゃのう……）

 

 

 

 

 

花山「俺のリッツも食ってみてくれ」

刃牙（花山さんのリッツ！？　まさかワイルドターキーと組み合わせたりして――）

花山「これだ」

独歩「なッ！？」

加藤「オムライスかよッ！　リッツに小さなオムライスが乗ってやがる！」

千春（大将……ガッカリだよ。まさかオムライスだなんて……）ｻｸｯ

千春「うンめェェェッ！　大将ォッ、一生ついていきやすッ！」

花山「…………」ﾆｨ…

 

 

ジャック「俺のリッツも見てもらおう」

刃牙「兄さん！」

アライJr「Oh、ステーキの上に……」

光成「リッツが搭載（の）っておるッ！」

ジャック「父よ、食ってみてくれ」

勇次郎「フン……」ｶﾞﾓ…

勇次郎「…………」ﾓﾆｭ…ﾓﾆｭ…

勇次郎「ヌウ……ッ！」

勇次郎「ステーキの濃厚さをリッツの軽さがより引き立て、とてつもねェ破壊力を生み出してやがる！」

ジャック「俺ダッテ出来タ！！！」

 

 

 

オリバ「オイオイ、リッツは米国（ステイツ）の生まれだぜ。私を忘れてもらっちゃ困る」

刃牙「おっちゃん！」

オリバ「私のリッツだ」

刃牙「ってこれ、ライスボール……おにぎりじゃん！」

加藤「いや、違うぞバキ！」ﾓｸﾞ…

末堂「おにぎりの中に……リッツが！」ﾎﾟﾘ…

渋川「なかなか合うね、これ」ｻｸｻｸ

刃牙「～～～～～～～ッッッ！」

勇次郎（自由すぎるぜ……アンチェインッ！）

 

安藤「俺も作ってみたぜ」

安藤「題して、熊肉とワサビのリッツ！」

刃牙「ウッマ！　飛騨の山での修行を思い出すよ」

独歩「熊肉とリッツがこんなに合うとは驚きだぜェ」

克巳「クゥ～ッ！　このワサビがまたいい味出してやがる！」

ストライダム「このワイルドな味がクセになる」ｻｸｻｸ

 

郭「ホホ……」

勇次郎「ジジイ……やはり来やがったか」

郭「ワシのリッツも食べてもらおうかの」

刃牙「オオッ！　これは――」

本部「さまざまな中華料理を少しずつリッツに搭載（のせ）た――」

中華リッツ！！！

オリバ「フム……この味は米中合作だな」ｻｸ…

寂「つくづく海皇ですな」ｻｸｻｸ

克巳（烈さんを思い出す味だ……）ｻｸｯ

 

 

 

 

武蔵「俺も混ぜてくれんか」

刃牙「！？」

刃牙「武蔵さん、アンタ昇天したハズじゃ……」

光成「せっかくのパーティーじゃから、姉に頼んで呼び出してもらったのじゃ」

刃牙「なにしてんのジッちゃん……」

刃牙（しかし、見たい……ッッ）

刃牙（“天下無双”宮本武蔵が、一体どうやってリッツを食するのか……ッッ！）

 

武蔵「…………」ｻｯ

刃牙（箸で――）（リッツ！？）（つまんだ！）（丁寧）

武蔵「…………」ﾁｮｲｯ

独歩（醤油につけて……）（え！？）（えッ！？）

武蔵「…………」ﾊﾟｸｯ

克巳（食べた！）（一直線ッ！）（いかにも剣豪的……）

武蔵「…………」ｻｸ…ﾎﾞﾘ…

武蔵「ふむ……旨い」

刃牙「～～～～～～～～～～ッッッ！」

本部「旧式であるがゆえに……最新式という矛盾！」

 

 

 

宿禰「私も参加させて下さい」

刃牙「あ……ッ！」

勇次郎「ほう……オメェがウワサの角界に挑んだハネッ返りか」

オリバ「フフ……君に粉砕（やら）れたアバラがうずくよ……。米国人は意外と根に持つンだぜ」

宿禰「その節はどうも。いつでも受けて立ちますよ」

ｸﾞﾆｬ～……

光成「チョッ、ストップじゃ！」

光成（二代目野見宿禰……どんなリッツを見せてくれるんじゃ！？）

 

宿禰「これです」

ｸﾞﾂｸﾞﾂｸﾞﾂｸﾞﾂｸﾞﾂ…

刃牙「～～～～～～ッッッ！」

渋川「こいつは面白ェ！」

独歩「鍋で豪快にリッツを煮る“ちゃんこリッツ”と来たかい」

オリバ「どれ……」ｻｸｯ

オリバ「…………ッ！」

オリバ「ナルホド……君が強くなるワケだ」

宿禰「ありがとうございます」

オリバ「今度、スモウを教えてくれないかね？」

宿禰「是非」

光成（リッツには高まった闘争心を氷解させる作用もあるんじゃのう……）

 

リッツパーティーは進み――

梢江「私の手料理をリッツに乗せてみたの」

刃牙「お、ウマそう！」

加藤「ケッ、イチャつきやがって！」

 

 

本部「日本酒とリッツを混ぜるのもワルくないもんだ」ｸﾞﾋﾞｯ

ガイア「さすが先生ッ！」

ゲバル「ラム酒ともなかなか……」

 

 

ついにあの男が動く。

 

 

勇次郎「…………」ｽﾞﾁｬｯ

光成「ゆ、勇次郎……ッッ！」

勇次郎「機は熟した……そろそろ俺のリッツを披露してやろう」

刃牙（出る……親父のリッツ！）

独歩（いったいどんなリッツを……！？）

克巳（何が出る！？）

郭「ホホ……」

 

勇次郎「上等なクラッカーに……ハチミツをかける」ﾀﾗ…

刃牙（え！？）

勇次郎「食ってみろ」

刃牙「ウ、ウン……」ｻｸｯ…

刃牙「なんてウマさッッッ！」

独歩「すげェ……これはすげェぜ！」

克巳「やはり地上最強……ッ！」

オリバ「リッツと蜜（シロップ）がここまで合うものとは……驚愕（サプライズ）だぜ」

宿禰「リッツも……相撲と同じぐらい奥が深いということか！」

武蔵「ふむ、ウマい」ｻｸｻｸ

光成（やはり、このリッツパーティー……勇次郎の優勝に決まりか！）

 

ピクル「ハルル……」ﾉｿ…

刃牙「ピクル……！」

勇次郎「リッツの芳香（かおり）に誘われてやってきたか」ﾆｨ…

加藤「だが、アイツは向かってくる相手しか食わねェんじゃ……」

克巳「イヤ……ピクルもだいぶ文化を学んだ。今の彼ならリッツを食せるだろう」

武蔵「オオッ、また会えるとは」

 

 

皆の注目がピクルに集まる。

果たして白亜紀の原人“ピクル”は――どのようにリッツに挑むのか！？

 

ピクル「ハルルルル……」ｸﾝｸﾝ

ピクル「…………」ﾊﾟｸｯ

刃牙（えっ、そのまま！？）

ピクル「…………」ﾊﾞﾘﾎﾞﾘ…ｺﾞｸﾝｯ

ﾊﾞﾘﾎﾞﾘﾊﾞﾘﾎﾞﾘ…

言葉こそ発さぬものの、“美味”と感じたのか、次々にリッツを平らげるピクル。

なにも搭載（のせ）ることも、付着（つけ）ることもなく――

 

刃牙「そ、そうか……ッ！」

勇次郎「…………」ｷﾞﾘｯ

ジャック「なんてことだ……」

闘技場にいる全ての人間が同じ想いを抱く。

リッツは――そのまま食っても十分ウマい！　むしろそのままで十分！

単純（シンプル）こそベストオブベスト！！！

誰一人としてたどり着けなかった答えに、ピクルはたどり着いていた――

 

光成「勝負ありじゃ……！」

ワァッ！！！

 

 

今宵のリッツ戦争（パーティー）……白亜の野性に軍配上がる……ッッ！

 

 

ピクル「…………？」ﾊﾞﾘ…ﾎﾞﾘ…

 

 

 

―　完　―